冷房の効いた室内で長時間過ごしていると、
といった不調を感じることはありませんか。
これは俗に「クーラー病」と呼ばれる状態で、冷房による冷えと屋外との温度差が自律神経の働きを乱すことで起こると考えられています。今回は、夏の冷房環境でなぜ体調を崩しやすいのか、整形外科としてできる対策についてわかりやすく解説します。
正式な病名ではありませんが、冷房による体の冷えや温度差が引き金となって起こる、肩こり・頭痛・だるさ・むくみなどの不調をまとめてこう呼びます。特に、オフィスや自宅で1日中冷房の効いた環境にいる方に多くみられます。
症状の現れ方には個人差があり、肩こりが中心の方もいれば、胃腸の不調や不眠が目立つ方もいます。「夏なのに体が重い」「冷房のない場所に出るとかえって楽になる」という感覚がある場合は、クーラー病を疑ってよいサインのひとつです。
3つ以上当てはまる方は、自律神経に負担がかかりやすい生活環境にあるといえます。
私たちの体は、暑い屋外と涼しい室内を出入りするたびに、体温を一定に保とうと自律神経がフル稼働します。この温度差が5℃以上になると、自律神経への負担が大きくなり、だるさや疲れが抜けにくくなるといわれています。
自律神経には、体を活動的にする「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」があります。冷暖房の温度差にさらされ続けると、この切り替えがうまくいかなくなり、常に緊張した状態(交感神経優位)が続いてしまうことがあります。
体が冷えると血管が収縮し、血流が滞りやすくなります。特に肩や首の筋肉は血流の影響を受けやすく、こりが強くなる方が多くいらっしゃいます。血流が悪くなると、筋肉に溜まった疲労物質が排出されにくくなり、こりや痛みが慢性化する悪循環に陥ることもあります。
自律神経の乱れは、日中の不調だけでなく夜間の睡眠にも影響します。寝つきが悪い、夜中に目が覚めるといった症状も、クーラー病の一つのサインと考えられます。睡眠中に体温調節がうまくいかないと、深い眠りに入りにくくなり、翌朝の疲労感につながります。
女性の場合、冷房による下半身の冷えと、ホルモンバランスの影響が重なり、顔だけがほてるのに手足は冷たいという「冷えのぼせ」の状態になることがあります。特に更年期前後の方は自律神経が乱れやすいため、冷房環境下で症状を強く感じやすい傾向があります。心当たりのある方は、婦人科と整形外科どちらからでもご相談いただけます。
「そのうち治るだろう」と放置してしまう方も多いのですが、自律神経の乱れが慢性化すると、肩こりや頭痛が生活の一部のようになってしまい、改善に時間がかかるケースもあります。特に夏の間ずっと冷房環境で過ごす方は、症状が積み重なりやすいため注意が必要です。
また、まれに肩こりや頭痛の背景に、頸椎の異常や他の内科的な病気が隠れていることもあります。「毎年夏になると同じ症状が出る」という方でも、一度は整形外科で体の状態を確認しておくと安心です。
その不調、我慢していませんか。まずは整形外科医の診察からご相談ください。
ひざ掛けや薄手の羽織りものを活用し、冷房の風が直接当たらないようにしましょう。特に首元とお腹は太い血管が通っているため、ここを温めるだけでも全身の冷えが和らぎやすくなります。
座りっぱなしの姿勢が続くと血流が滞りやすくなります。肩を回す、伸びをするなど、小さな動きでも構いませんので、こまめに体を動かす習慣をつけましょう。
シャワーだけで済ませると、冷房で冷えきった体を回復させる時間が十分に取れません。夏でも湯船につかることで、副交感神経が優位になり、自律神経のバランスを整えやすくなります。
冷たい飲み物や食べ物は、体の内側から冷えを助長します。常温や温かい飲み物を意識的に取り入れることで、胃腸の負担も軽減されます。
就寝中の冷えすぎは、睡眠の質を下げる原因になります。タイマー機能を活用し、室温を26〜28℃程度に保つことを目安にしてみてください。
まずはこうした日常のケアから見直してみてください。
自宅とは異なり、職場の冷房設定は自分だけで調整できないことも多いものです。そうした環境でも取り入れやすい工夫として、デスクに置ける小型のひざ掛けやアームカバーの活用、席の位置を冷房の風が直接当たらない場所に変更してもらう相談、休憩時間を利用して体を動かすことなどが挙げられます。
「気をつけているのに、肩こりやだるさが取れない」という場合は、慢性化しているサインかもしれません。
当院では、まず整形外科医が丁寧に診察を行い、症状に応じてリハビリや物理療法(ヘルストロンなど)をご提案しています。慢性的な肩こりや自律神経の乱れが気になる方は、我慢せず一度ご相談ください。
Q. クーラー病は病院で診てもらえる症状ですか?
A. はい。肩こりや頭痛、だるさなどの症状として整形外科でご相談いただけます。他の病気が隠れていないかの確認にもなります。
Q. 冷房を我慢すればよいのでしょうか?
A. 冷房自体を我慢する必要はありません。温度差を小さくする工夫と、体を冷やしすぎない対策を組み合わせることが大切です。
福岡市早良区西新・かなざわ整形外科・婦人科
#### 慢性的な肩こり・冷え・自律神経の乱れに|保険診療のヘルストロン
当院では、椅子に座るだけで受けられる医療用ヘルストロン(電位治療器)を4台導入しています。保険診療の物理療法として、再診の方は3割負担で約300円程度からご利用いただけます。夏の冷房による体調不良でお悩みの方は、まず整形外科医の診察でご相談ください。
夏の冷房環境は、自律神経の乱れや血流低下を通じて、肩こりやだるさを悪化させます。冷やしすぎない工夫と合わせて、なかなか改善しない場合は無理をせず整形外科にご相談ください。