ロコモ予防・改善のカギ① ― 運動編

ロコモ予防・改善のカギ① ― 運動編

 

👣 はじめに

先週よりロコモについてお話してきました。そもそもロコモとは(前回記事)

  →「ロコモ」って知っていますか? 〜ロコモコ丼じゃありません!〜

 

  →ロコモ度テストでセルフチェック! ― あなたは大丈夫?

 

今回は予防についてのお話しです。

ロコモティブシンドロームの進行を防ぐうえで、運動療法は最も重要な柱です。
特に「下肢筋力」と「バランス能力」を高めることは、転倒・骨折予防の観点からも欠かせません。

ここでは、整形外科やリハビリの現場で推奨される専門的な運動方法をご紹介します。

 

💪 筋力トレーニング(Resistance Training)

  1. 大腿四頭筋トレーニング
  • 椅子からの立ち上がり反復(Sit-to-Stand)
    • 方法:椅子に座り、手を使わずに立ち上がって座る動作を繰り返す
    • ポイント:10回×3セット、週2~3回
    • 意義:大腿四頭筋を強化 → 転倒リスクを低減
  • レッグエクステンション(セラバンドやマシン利用)
    • 弱い方はゴムバンド、リハ室ではマシンを使用
    • 膝伸展力をダイレクトに鍛える
  1. 臀筋群トレーニング
  • ブリッジ運動
    • 仰向けで膝を立て、腰を持ち上げる
    • 臀筋と体幹を同時に強化
  1. 下腿三頭筋トレーニング
  • カーフレイズ(つま先立ち運動)
    • 平行棒や壁に手を添えて踵を上げ下げ
    • ふくらはぎを鍛え、歩行持久力の改善に効果

⚖️ バランストレーニング

  1. 片脚立ち訓練
  • 1分間の片脚立ちを左右交互に実施
  • 安全のため、壁や手すりの近くで行う
  • バランス能力向上・転倒予防に直結
  1. ステップ運動
  • 踏み台昇降(高さ10〜20cm)を繰り返す
  • 有酸素運動+下肢筋力強化の両方に有効

🧘 柔軟性・可動域訓練

関節可動域の制限は、動作の非効率化や転倒リスク増加につながります。

  • ハムストリングスのストレッチ
  • アキレス腱のストレッチ
  • 股関節周囲筋の柔軟性維持

👉 関節の柔軟性を保つことで、歩幅が広がり、2ステップテストの改善にもつながります。

 

🫀 有酸素運動(Aerobic Exercise)

  • ウォーキング(1日20〜30分、週5回)
  • 水中歩行:浮力で膝・腰への負担を減らしつつ全身運動
  • 自転車エルゴメーター:膝OAや股関節疾患でも比較的安全に実施可能

👉 有酸素運動は心肺機能だけでなく、サルコペニア予防にも寄与します。

🏥 クリニック・リハ室で行う専門的運動療法

  • 筋力測定(握力、膝伸展筋力など)を指標にした個別プログラム
  • インソールや装具の併用での歩行訓練
  • 物理療法との併用(温熱療法や電気刺激療法で筋収縮をサポート)

👉 専門スタッフによる運動指導は、患者さんの状態に応じて 無理なく効果的に続けられる ことが強みです。

📈 運動の効果を評価する

  • ロコモ度テスト(立ち上がり・2ステップ)を定期的に実施
  • 握力や歩行速度の測定
  • 骨密度測定や筋量測定との組み合わせ

👉 数値で効果を見える化することで、継続のモチベーションにつながります。

⚠️ 運動療法の注意点

  • 無理な負荷は関節障害や転倒リスクを高める
  • 心疾患・高血圧・整形外科疾患のある方は必ず医師の指導を受ける
  • 「できる範囲で、継続して」が最も重要

まとめ

  • ロコモ予防には 筋力・バランス・柔軟性・有酸素運動 がすべて重要
  • 専門的な運動療法はクリニックやリハビリ室で安全に実施できる
  • 定期的な評価とフィードバックが成功のカギ

🏥 院長よりひとこと

ロコモは「気づいた時点で対策できる」状態です。
当クリニックでは、患者さんごとに合わせた運動療法やリハビリ、装具療法まで含めて総合的にサポートしています。
気になる方はぜひご相談ください。

 

〒814-0003
福岡市早良区城西3丁目22-20 AP L-tage西新 3F
かなざわ整形外科・婦人科

■地下鉄「西新駅」より徒歩約4分
■西鉄バス「脇山口」より徒歩約2分

院長 金沢 正幸

医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会リハビリテーション医
日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会スポーツ医
日本医師会認定スポーツ医
日本体育協会公認スポーツドクター

※婦人科は女性専門医が診察にあたります。

 

 

 

2025年10月23日