「ロコモ」って知っていますか? 〜ロコモコ丼じゃありません!〜

「ロコモ」って知っていますか? 〜ロコモコ丼じゃありません!〜


🍳 はじめに

「ロコモ」って聞いたことがありますか?

初めて耳にした方は、「ロコモコ丼のこと?」と思ったかもしれません。

たしかに響きは似ていますが、残念ながらご飯の上にハンバーグと卵が乗ったハワイの人気料理ではありません。

医学の世界でいう「ロコモ」とは ロコモティブシンドローム の略。

私たちの足腰の健康、ひいては「元気に歳を重ねる」ために避けては通れないキーワードなのです。


🚶‍♂️ ロコモティブシンドロームとは?

「ロコモ」の意味

  • ロコモティブ(locomotive) … 運動器(骨・関節・筋肉など、体を動かす仕組み全体)

  • シンドローム(syndrome) … 症候群

つまり「ロコモティブシンドローム」とは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態 を指します。

ロコモは“足腰の警告サイン”

例えばこんな経験はありませんか?

  • 階段を一気に登れなくなった

  • 正座から立ち上がるのに手をつくようになった

  • ちょっとした段差につまずく

これらは「歳のせい」と片付けがちですが、実はロコモの入り口かもしれません。


📊 なぜロコモが注目されているのか?

1. 超高齢社会という背景

日本は世界でも突出した高齢化社会です。

平均寿命は男性81歳、女性87歳(2024年データ)に達していますが、「健康寿命」は男性72歳、女性75歳ほど。

👉 約10年もの差 があるのです。

その差を埋める大きなカギが「ロコモ対策」です。

2. 介護が必要になる原因の上位

厚生労働省の調査によると、要介護の原因で多いのは

  • 認知症

  • 脳血管疾患(脳梗塞など)

  • 運動器の障害(関節疾患・転倒・骨折)

この「運動器の障害」が実は全体の2割近くを占めています。

3. 誰もが無関係ではいられない

ロコモは高齢者だけの問題ではありません。

  • 運動不足の40代・50代

  • 仕事で長時間座りっぱなしの人

  • 過去にスポーツでケガをした人

    すでに「予備群」になっていることも珍しくないのです。


🧓 ロコモが進行するとどうなるのか?

ロコモは少しずつ進行します。

初期のうちは「疲れやすい」「立ち上がりにくい」程度でも、放っておくと次第に生活に大きな影響を及ぼします。

  • 外出がおっくうになる

  • 転倒・骨折のリスクが高まる

  • 寝たきりにつながる

  • 筋力やバランス機能が落ち、活動範囲がどんどん狭くなる

さらに外に出なくなることで 気持ちがふさぎ込む・認知機能が低下する といった二次的な問題も引き起こします。


🩺 ロコモと関係する主な病気

ロコモは単独で起こるわけではありません。

その背景には、次のような運動器疾患が隠れています。

  • 変形性膝関節症:膝の軟骨がすり減り、痛みで歩けなくなる

  • 変形性腰椎症:腰の骨や椎間板が変化し、腰痛やしびれを起こす

  • 骨粗鬆症:骨がもろくなり、転倒で骨折しやすくなる

そして忘れてはいけないのが「サルコペニア」です。


💪 サルコペニアとは?

「サルコペニア」という言葉も、最近少しずつ知られるようになってきました。

語源はギリシャ語で、

  • 「サルコ(sarco)」=筋肉

  • 「ペニア(penia)」=減少

つまり 筋肉が減ってしまうこと を意味します。

サルコペニアの特徴

  • 筋肉の量が減る

  • 筋力(握力など)が低下する

  • 歩くスピードが遅くなる

これらが重なると、転倒や骨折のリスクが高まり、結果的にロコモやフレイル(虚弱)の原因になります。

サルコペニアを防ぐには?

  • タンパク質をしっかりとる(肉・魚・豆類・卵・乳製品など)

  • 適度な運動を続ける(ウォーキングやスクワットなど)

  • 十分な睡眠と生活リズム

日々の小さな工夫が「筋肉を守ること」に直結します。

サルコペニアとロコモは切っても切れない関係にあり、サルコペニア対策=ロコモ予防 でもあるのです。


🧍‍♀️ ロコモは「生活習慣病」でもある

ロコモは糖尿病や高血圧と同じく 生活習慣病の一つ とも言えます。

運動不足・栄養バランスの乱れ・喫煙や飲酒など、日常生活の積み重ねが症状に直結するからです。

つまり「今日から少しずつ改善」すれば予防できる可能性が高いのです。


📌 まとめ

  • ロコモは 運動器の障害で移動機能が低下した状態

  • 健康寿命を縮める大きな要因であり、介護リスクにつながる

  • 高齢者だけでなく中年期から誰にでも起こり得る

  • 背景には 骨粗鬆症・関節疾患・サルコペニア が関わる

  • 日常生活の工夫が予防につながる


👣 次回予告

次回は、ロコモかどうかを簡単に知る方法、

「ロコモ度テスト」を具体的にご紹介します。

ご自宅でできるチェック法もありますので、ぜひご家族で試してみてください。


🏥 メッセージ

ロコモは「気づいたときから行動できる」状態です。

クリニックでは、リハビリやインソール作成、骨粗鬆症の検査などを通じて予防と改善のお手伝いをしています。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

 

〒814-0003
福岡市早良区城西3丁目22-20 AP L-tage西新 3F
かなざわ整形外科・婦人科

■地下鉄「西新駅」より徒歩約4分
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院長 金沢 正幸

医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会リハビリテーション医
日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会スポーツ医
日本医師会認定スポーツ医
日本体育協会公認スポーツドクター

※婦人科は女性専門医が診察にあたります。

 

 

2025年10月15日