インフルエンザワクチンは2回打つべき?年齢別の接種回数と間隔を医師が解説

「インフルエンザワクチンって、1回でいいの?2回打ったほうが効くの?」

毎年この時期になると、患者さんからよくいただく質問です。結論から言うと、接種回数は年齢で決まっていて、13歳が境目です。この記事では、年齢ごとの回数と間隔、「念のため2回」に意味はあるのか、などを分かりやすく解説します。

インフルエンザ予防接種 特集(全3回)
この記事の結論
  • 13歳未満:2回(2〜4週間あけて。4週間が理想)
  • 13歳以上:原則1回(健康な大人は1回で2回と同じくらいの効果)
  • 65歳以上の方:1回(福岡市の定期接種も1回)
  • 免疫の働きが強く抑えられている方などは、医師の判断で2回にすることも

年齢別|インフルエンザワクチンの接種回数と間隔

厚生労働省が示している接種回数・量は次のとおりです。

年齢回数1回の量接種間隔
生後6か月〜3歳未満2回0.25mL2〜4週間(4週間が望ましい)
3歳〜13歳未満2回0.5mL2〜4週間(4週間が望ましい)
13歳以上1回(または2回)0.5mL2回の場合は1〜4週間

13歳以上について「1回または2回」とされていますが、厚生労働省のQ&Aでは、健康な成人は1回の接種で2回接種と同じくらいの抗体が得られるとされており、1回が基本です。

当院での接種について

当院では小学生以上の方に接種しています。小学生は原則2回接種で、料金は1回3,000円です。未就学のお子さんは、原則として小児科での接種をおすすめしています。

なぜ子どもは2回、大人は1回なの?

カギは「過去にインフルエンザと出会ったことがあるか」

体の免疫には、一度出会った敵を覚えておく「記憶」の仕組みがあります。

例えるなら、初めて行く場所への道順のようなものです。

  • 子ども:インフルエンザにかかったり、ワクチンを打ったりした経験が少ないため、体にとっては「初めての道」。1回目で道を覚え、2回目でしっかり定着させる必要があります。
  • 大人:これまでに何度もインフルエンザウイルスやワクチンに出会っているため、「何度か通ったことのある道」。1回の接種で免疫の記憶がすぐに呼び起こされ、十分な抗体ができます。

このように、2回目の接種で免疫を一気に高めることを「ブースター効果」と呼びます。子どもは、このブースター効果を得るために2回の接種が必要なのです。

ここがポイント

子どもの2回接種は「2回で1セット」です。1回だけでは十分な効果が得られにくいため、2回目まで忘れずに受けましょう。

13歳という境目の理由

13歳前後になると、多くの子がすでにインフルエンザへの感染やワクチン接種を何度も経験しており、大人と同じように1回で十分な抗体が得られると考えられています。このため、日本では13歳を区切りにしています。

大人が「念のため2回」打つ意味はある?

健康な大人は1回で十分

前述のとおり、健康な成人では1回と2回で得られる抗体の量に大きな差はないとされています。「たくさん打つほど効く」わけではなく、「適切な時期に1回をきちんと打つ」ことのほうが大切です。

2回打つよりも、次のことを意識したほうが効果的です。

  • 流行前に(今季は10月〜11月中に)接種を済ませる
  • 一緒に暮らす家族も接種する
  • 手洗い・換気・十分な睡眠を続ける

2回接種を検討するケース

13歳以上でも、次のような方は医師の判断で2回接種を検討することがあります。

  • がんの治療中、臓器移植後など、免疫の働きが強く抑えられている方
  • 免疫を抑える薬(ステロイドや免疫抑制剤など)を使っている方

整形外科では、関節リウマチなどで免疫を抑える薬を使っている方もいらっしゃいます。該当する方は、自己判断せず、主治医や接種時の診察でご相談ください。

高齢の方は?

65歳以上の方も1回が基本です。福岡市の高齢者定期接種も1シーズン1回となっています。高齢の方は若い方に比べて抗体ができにくい面はありますが、それでも重症化や死亡を防ぐ効果が報告されています(高齢者施設入所者で死亡を82%防いだという報告があります)。

2回接種のスケジュール例

13歳未満のお子さんは、2回目の接種から約2週間後に十分な効果が期待できます。今季は流行が早いため、次のようなスケジュールがおすすめです。

1回目2回目効果が期待できる時期
おすすめ10月中11月中(4週間後)11月下旬〜
遅くとも11月中旬12月中旬12月下旬〜
  1. 11回目を予約するときに、2回目の日程も一緒に決めておく
  2. 21回目の接種。母子手帳(接種記録)を忘れずに
  3. 32〜4週間後(できれば4週間後)に2回目を接種
  4. 42回目から約2週間で、しっかりした効果が期待できる

13歳の誕生日をまたぐ場合

1回目を12歳で打ち、2回目までに13歳になるケースがあります。このような場合は、2回接種として予定どおり2回目を受けることが一般的です。接種量はいずれも0.5mLです。詳しくは接種時にご相談ください。

鼻から入れるワクチン(フルミスト)という選択肢

注射のワクチン以外に、鼻にスプレーするタイプのワクチン(経鼻弱毒生ワクチン:フルミスト)もあります。

注射のワクチン鼻のワクチン(フルミスト)
対象年齢生後6か月以上2歳以上19歳未満
回数13歳未満は2回1回
痛みありなし
種類不活化ワクチン生ワクチン(弱毒化したウイルス)
受けられない方発熱中の方など妊娠中の方、免疫の働きが低下している方、ぜんそくのある方などは不可・要相談

注射が苦手なお子さんにとってはメリットがありますが、生ワクチンのため受けられない方もいます。どちらが合っているかは、かかりつけの小児科などでご相談ください。

※当院ではフルミストは取り扱っておらず、注射のワクチンのみとなります。

よくある質問

Q子どもの2回目を打ち忘れて、4週間以上あいてしまいました。
A最初からやり直す必要はありません。気づいた時点で、できるだけ早く2回目を接種してください。
Q1回目と2回目を別の医療機関で打ってもいいですか?
A可能です。1回目の接種日が分かるよう、母子手帳や接種記録を必ずお持ちください(当院では高校生以下の方は母子手帳をお持ちいただいています)。
Q去年も打ったので、今年は子どもも1回でいいですか?
A13歳未満のお子さんは、前年に接種していても毎年2回が基本です。
Q大人ですが、去年打った後にかかりました。今年は2回打ったほうがいいですか?
A健康な大人であれば、2回にしても効果が大きく上がるわけではありません。今年も流行前に1回、早めに接種することをおすすめします。
Q1回目の後に熱が出ました。2回目は打てますか?
A2〜3日でおさまる軽い発熱であれば、多くの場合2回目も接種できます。ただし、強いアレルギー症状や高熱が出た場合は、2回目の前に必ず医師にご相談ください。

まとめ|回数より「年齢に合った回数を、早めに」

  • 13歳未満は2回(2〜4週間あけて、2回で1セット)
  • 13歳以上は原則1回。健康な大人が「念のため2回」打つ必要は基本的にない
  • 免疫を抑える治療を受けている方は、医師と相談
  • 今季は流行が早いので、子どもは10月中に1回目、大人も11月中までに

ワクチンの効果をいちばん引き出すのは、「回数を増やすこと」よりも「流行前に打ち終えること」です。ご家族そろって、早めに予定を立てましょう。

インフルエンザ予防接種 特集(全3回)
監修
この記事の監修
かなざわ整形外科・婦人科 院長 金沢 正幸
整形外科・婦人科の両面から、地域の皆さまの健康をサポートしています。

参考資料

  • 厚生労働省「インフルエンザQ&A」
  • 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」
  • 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト IDWR 2026年第35号「インフルエンザ」
  • 東京都感染症情報センター「2026〜2027年シーズン インフルエンザHAワクチン製造株」
  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 産科編」
  • 福岡市「新型コロナ・インフルエンザ予防接種のお知らせ」(市政だより 令和7年10月1日号)
  • 大学入試センター「令和9年度大学入学者選抜 大学入学共通テスト実施要項」

※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。制度や料金は変更される場合があります。

2026年10月05日