🏁 走り終わってからが本当の勝負
― マラソン後のアクティブレストとリカバリーのすすめ ―
42.195kmを走り切ったあとの達成感。
ゴールラインを越えた瞬間、こみ上げる喜びと安堵、そして疲労感――。
マラソンを完走した方なら、誰もが味わったことがある感情だと思います。
でも、実は“マラソンはゴールしたあとが本番”とも言われています。
大会後の過ごし方次第で、次の走りが変わる。
そんな「アクティブレスト」という考え方を中心に、マラソン後のケアとリカバリーのポイントをお話しします。
🧘♂️ アクティブレストとは?
最近よく耳にする「アクティブレスト」。
直訳すると「積極的休養」といいます。
「休養」と聞くと、“何もしないで休む”イメージを持ちますよね。
しかしアクティブレストは、“軽く体を動かすことで疲労回復を促す”という逆転の発想です。
たとえば、マラソン後に軽くウォーキングしたり、ストレッチをしたり、プールで泳いだり。
これらの軽い運動が血流を良くして、筋肉の中に溜まった疲労物質(乳酸など)を流してくれます。
結果的に筋肉痛の軽減や回復スピードのアップにつながります。
トップアスリートも、レース翌日に軽いジョグやサイクリングを行うことがありますが、
それはまさに「アクティブレスト」。
“動いて休む”ことが、体を早く元気に戻す鍵なのです。
🕊️ マラソン直後の過ごし方 ― まずは「回復モード」に切り替えよう
🩵 レース直後はしっかり水分・栄養補給を
ゴール後の身体は、脱水とエネルギー枯渇の状態。
スポーツドリンクや水で水分・電解質を補いながら、炭水化物でエネルギーをチャージ。
また、筋肉修復のためにたんぱく質やビタミンCも意識的に摂りましょう。
鶏むね肉・魚・豆腐・ゆで卵などの良質なたんぱく質、
キウイ・オレンジ・ブロッコリーなどのビタミンCを豊富に含む食材がオススメです。
筋肉の炎症をやわらげ、疲労の回復を助けてくれます。
💧 入浴と睡眠もリカバリーの基本
レース直後は筋肉に微細な損傷や炎症が起きています。
熱いお湯に長く浸かるよりも、まずはぬるめ(38℃前後)のお風呂でじっくり温めるのが◎。
翌日以降は温冷交代浴で血流を促すのも効果的です。
そして、何より大事なのが「睡眠」。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、傷ついた筋肉が修復されていきます。
寝る直前のスマホやアルコールは控えめに、深い眠りを意識してみましょう。
🏃♀️ マラソン後1週間のアクティブレスト計画
🗓️ 【1〜2日目】しっかり休む+軽く動く
・まずは身体の炎症反応を落ち着かせる期間。
・軽いウォーキングやストレッチで、血流を保ちましょう。
・筋肉をまったく動かさないよりも、やさしく動かすことで回復が早まります。
💡おすすめ:短時間の散歩、足首まわし、寝る前の軽いストレッチ。
🗓️ 【3〜5日目】アクティブレスト期
筋肉痛が落ち着いてきたら、少しずつ体を動かします。
・軽いジョギング(普段のペースの半分以下)
・スイミングやエアロバイクなど、関節にやさしい運動
・ヨガやピラティスなども効果的です。
「体を整える」意識で、呼吸を深く、リズムを大切に。
気持ちいい範囲で体を動かすのがポイントです。
🗓️ 【6〜7日目】再始動の準備
疲労感が抜け、体が軽く感じられたら短めの距離からランを再開。
ペースはゆっくりでOKです。
走り終わったあとはストレッチ・入浴・栄養補給を忘れずに。
🍽️ 栄養とビタミンの力を味方に
アクティブレストを効果的にするには、栄養サポートも大切です。
とくにビタミンCは、運動による酸化ストレスを和らげ、筋肉修復を助ける働きがあります。
長距離ランでは活性酸素が増え、筋肉や血管にダメージを与えることがあります。
ビタミンCはその酸化を抑え、疲労を軽くする“抗酸化ビタミン”。
さらに、コラーゲン合成を助けることで筋肉・関節の修復もサポートします。
💊 吸収効率の高い**リポソーム型ビタミンC(Lipo Cなど)**は、
胃腸に負担をかけずに効率よく体に届くため、マラソン後の回復にもぴったりです。
🌬️ 酸素ボックスによるリカバリーもおすすめ
マラソン後の疲労回復のもうひとつの選択肢として、
**酸素ボックス(高気圧酸素ルーム)**も注目されています。
マラソンのような長時間の有酸素運動では、体内の酸素が不足しがちになります。
筋肉や脳に十分な酸素が届かないと、乳酸が蓄積し、疲労やだるさが残る原因に。
酸素ボックスでは、通常よりも高い気圧環境で酸素濃度を高めることで、
血液中に「溶解型酸素」と呼ばれる酸素を増やし、
細胞の隅々まで酸素を届けるサポートをします。
これにより――
・疲労物質の分解促進
・筋肉や関節の修復サポート
・睡眠の質の向上
・頭の疲れや集中力低下の改善
といった効果が期待できます。
特にレース後1〜3日以内に利用すると、筋肉痛の回復を早めたり、
「体のだるさが抜けない」という状態の改善にも役立ちます。
アクティブレスト(軽い運動)と酸素ボックスを組み合わせることで、
“動かしながら回復する”理想的なリカバリーが可能になります。
🌈 アクティブレストで得られる“前向きな回復”
アクティブレストや酸素ボックスを取り入れると、
・筋肉痛が早く和らぐ
・体の重さが減り、翌朝が軽い
・気持ちが前向きになる
といった変化を実感する方が多いです。
「疲れているのに、なんだか動ける」「また走りたくなってきた」
――そんな感覚が戻ってきたら、回復がうまくいっているサインです。
🏃♂️ 次の大会に向けて ― “疲労を抜く勇気”を
走ることが好きな人ほど、すぐに次の練習を始めたくなります。
でも、マラソン後の身体の中ではまだ修復が続いています。
疲労を抜かないまま再開してしまうと、
思うようにスピードが出なかったり、ケガのリスクが高まったり。
「しっかり休む」「緩める」ことも、立派なトレーニングの一部です。
アクティブレストや酸素ボックスを取り入れながら、
自分の身体と対話する時間を持ってみましょう。
💬 まとめ
マラソンは、ゴールで終わりではなく「回復のスタート」。
軽く動いて血流を促すアクティブレスト、
栄養とビタミンによる内側からのケア、
そして酸素ボックスによる酸素リカバリー。
この3つを組み合わせることで、
身体をやさしく整えながら、次のステージへと進む準備ができます。
走り終えた自分へのご褒美に、
「動いて休む」時間をプレゼントしてあげてくださいね。
🌿 クリニックからのひとこと
当院では、マラソンや運動後の疲労回復をサポートするため、
酸素ボックス・温熱療法・ストレッチ指導・栄養相談など、
体の回復力を高めるリカバリープランをご用意しています。
大会後のケア、次の大会へ向けたコンディション調整など、
お気軽にご相談ください。

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福岡市早良区城西3丁目22-20 AP L-tage西新 3F
かなざわ整形外科・婦人科
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院長 金沢 正幸
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会リハビリテーション医
日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会スポーツ医
日本医師会認定スポーツ医
日本体育協会公認スポーツドクター
※婦人科は女性専門医が診察にあたります。