今日はマラソンの日らしいですよ!

■ マラソンの日とは

9月12日は「マラソンの日」。

1896年、アテネで開催された第1回近代オリンピックでマラソン競技が初めて行われたことに由来しています。

マラソンは「42.195kmを走る壮大な挑戦」として世界中で親しまれ、日本でも東京マラソンをはじめ各地で市民大会が盛り上がりを見せています。

そして「走ること」は今や単なるスポーツの枠を超え、健康づくりや人生観を支える大切な営みになっています。

今年は、11月に下関海響マラソンにチャレンジ予定です。


 

■ マラソン人気と健康志向

マラソンの魅力はゴールを目指す達成感だけではありません。

  • 有酸素運動による心肺機能の強化

  • 生活習慣病予防

  • ストレス解消やメンタルケア

  • 仲間と走る楽しさ

こうしたメリットがある一方で、走る距離や負荷が大きくなると体のあちこちにトラブルが生じやすくなります。


 

 

■ 整形外科から見た「ランナーの体」

マラソンや長距離ランニングでは、特に次のような障害が多く見られます。

  • 膝の外側の痛み(腸脛靭帯炎)

  • すねの内側の痛み(シンスプリント)

  • アキレス腱炎や足底筋膜炎

  • 疲労骨折(脛骨・中足骨など)

これらは、練習量の急増やフォームの乱れ、体幹や筋力不足が重なることで起こりやすくなります。

整形外科的に大切なのは「予防」と「早めのケア」です。

違和感を放置せず、リハビリやストレッチを取り入れることで、長く走り続けられる体を守ることができます。


 

 

■ 婦人科から見た運動と健康

女性にとっても運動習慣は大切です。

  • 月経周期との付き合い方

     → 周期に合わせて練習量を調整することで、ケガや不調を防ぎやすくなります。

  • 更年期世代の運動

     → 骨密度の低下や代謝の変化が起こる時期だからこそ、無理のない運動習慣が骨粗鬆症や生活習慣病予防につながります。

  • 骨粗鬆症予防

     → ジョギングやランニングのような荷重運動は骨を刺激し、骨密度維持に効果があります。

婦人科的な視点を持ちながら運動を続けることは、長く健康を維持する上で欠かせません。


 

 

■ リカバリーの重要性

マラソンやランニングでは「練習すること」だけでなく「回復すること」も同じくらい大切です。

特に大人になってから走り始めた方は、仕事や家事の疲れも重なり、体の回復が追いつかないことが少なくありません。

疲労が抜けない状態で練習を続けると、パフォーマンスが落ちるだけでなく、ケガのリスクが高まります。

そこで当院が一押ししたいのが 酸素ボックス です。

当院では、酸素ボックス(を使ったリカバリーサポートを取り入れており、科学的にもその効果が認められつつあります。以下、研究データに基づく効果と、実際にご利用いただく場合の目安をご紹介します。まだまだ、不明な点も多く個人差もあるようですが、多くのアスリートが効果を実感しているようです。ちなみに私は、結構頻回に利用してますが、利用初めてかなり疲労回復、睡眠、目の疲れなどに関して効果を実感しています。

以下酸素について簡単にまとめます

 

1.酸素ボックス

 

 

 

(HBOT/MHBOT/軽度高気圧酸素療法・溶解型酸素含む)とは何か

 

まず概念整理を簡単に。

  • Hyperbaric Oxygen Therapy (HBOT):100% 酸素を、通常の大気圧以上(例えば 2.0-2.5 ATA やそれ以上)に加圧された箱やチャンバー内で吸入する療法。身体組織への酸素分圧を高め、酸素溶解量を増やし、酸素供給改善や組織修復を促すことを目的とする。

  • Mild Hyperbaric Oxygen Therapy (MHOT, 軽度高気圧酸素療法):上記より加圧を軽くし(1.2〜1.5 ATA 程度)、酸素濃度を大気中よりやや上げる方式。身体への負担が少なく、継続利用しやすいタイプ。

  • 溶解型酸素(Dissolved Oxygen):酸素が血漿中に溶け込む形で存在する酸素分で、通常の吸入酸素だけでは限界がある酸素供給の改善に重要。高気圧環境下ではこの溶解酸素量が飛躍的に増えるため、微小な毛細血管や血流の乏しい組織にも酸素が届きやすくなる。HBOT の重要な機序のひとつ

■ 科学的根拠:何がどれだけ改善するか

  1. 筋疲労・損傷マーカーの軽減

     中国の大学アスリートを対象とした研究では、90分間のサイクリングで疲労を誘発させ、その後 MHOT(約 1.25 ATA、酸素濃度 26-28%)を 60 分行ったところ、筋損傷(例:クレアチンキナーゼ CK)、乳酸(LA)、血中の尿素窒素(BUN)などの回復が、通常の休息と比べて有意に早かったと報告されています。

  2. 主観的疲労感・心拍・血流の回復

     同じ研究で、運動後の「感じる疲労(Rating of Perceived Exertion, RPE)」や心拍数、末梢血流(Perfusion Index)の回復も、MHOT 群で対照群より早かったことが示されています。疲れが長く残るランナーにはこの点が特に有効です。

  3. 炎症・酸化ストレスの抑制

     繰り返し MHOT を実施した群では、SOD(抗酸化酵素)などの改善、また MDA(酸化ストレスマーカー)の低下が報告され、炎症反応や活性酸素による細胞ダメージの軽減が期待できます。

  4. 主観的回復感の改善

     プロ・ユース選手を対象とした研究では、HBOT を 1 回行った後、疲労・睡眠・ストレスなど日頃から感じる体調を総合評価する Hooper Index で HBOT 群が偽処置群より有意に改善したというデータがあります。パフォーマンス指標そのものは即時には変わらなくとも、「次の日・翌々日の動き」に影響を与える可能性があります。 Frontiers

  5. 怪我・軟部組織の回復補助

     筋・軟部組織の損傷、骨や骨髄浮腫などに対して、酸素療法が補助的に有効であるというレビュー報告。浮腫の軽減や血管新生の促進などの生理作用が確認されています。春先・シーズン始めのトレーニングで痛みが出やすい部位の回復には特に注目。 journalofsportsmedicine.org

■ プロや競技レベルでの実践例

  • 若いフットボール選手や大学アスリートにおいて、疲労回復ツールとして HBOT/MHOT を競技後のサポート手段に組み込んでいる実例が増えています。 

  • プロ選手が大会シーズン中に浮腫や筋肉のこわばりを軽くするため、また回復を早めるために HBOT を活用しているという報告・メディア紹介も複数。具体的な競技名や選手名は施設や報道により異なりますが、「大会翌日〜数日中」の回復を目的とした使用が多いようです。 

■ 溶解型酸素とその意義

酸素ボックスにより「溶解した酸素(血漿中に物理的に溶けている酸素分)」が増えること。これは通常の呼吸だけでは限界がある組織/微細血管部への酸素供給を補うために極めて重要です。

  • 通常、大気中で呼吸した酸素は主にヘモグロビンに結合して運ばれますが、毛細血管の細部や、血流の悪くなっている部位、虚血に近い部分にはヘモグロビン酸素だけでは十分でないことがあります。

  • 高圧・高酸素濃度の環境下では肺での酸素分圧が上がり、血漿中にも酸素が溶け込む量が飛躍的に増加します(溶解型酸素量の増加)。このことが、通常の安静回復や血流改善だけでは回復しにくい部位の修復・浮腫の軽減に寄与します。複数のレビューでこの機序が HBOT の主要な効果の一つとされている。

■ 効果が出るまでの目安・頻度

研究データから、以下のような頻度・時間設定が効果を出しやすいことが示されています:

  • 週 1〜2 回 のセッションが繰り返されることで、疲労マーカーの改善・主観的疲労感・炎症ストレス指標・回復感で有意な改善が見られる研究あり。特に「6 回連続使用」などのような繰り返しが有効。

  • 1 セッションあたり 60 分前後 が典型。施設の構造・安全性に応じて 45 分〜90 分を設定する例もあり。

  • 加圧圧力や酸素濃度は、中程度のもの(MHOT/軽度タイプ)でも十分な効果を示した研究があるため、重度負荷や副作用を避けたい場合には MHOT が実践的。高圧型を使う場合は安全チェックを徹底。

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8.まとめ・クリニックとしての提言

マラソンランナーや長距離を走る方、また大会前後やトレーニング強化期の皆さまに対して、以下のような回復プランをおすすめします。


クリニック回復プラン提案

「週 1~2 回の酸素ボックスセッションを核とした回復サイクル」

フェーズ 内容
練習直後・大会直後 距離/強度の高い練習やレース後は、できれば翌日以内に酸素ボックスを使用。主観的疲労感・筋肉の張り・腫れを感じる部位を中心にケア。
通常練習週 疲労の蓄積が感じられた週末、週の中間に 1 回。練習量が多い・体への負荷が大きい時期には 2 回。
回復日 ジョグや軽いストレッチのみの日と組み合わせ、酸素ボックスで体の修復を促進。睡眠・栄養(特にたんぱく質・抗酸化栄養素)を意識する。
モニタリング 主観的疲労(スケールをつける)、筋痛・関節痛、睡眠の質、練習中の心拍数や回復心拍(休息時)など。可能なら炎症マーカー(CK など)を定期的チェック。

注意事項

  • 個人差があります。持病(心肺・肺・耳・鼻・圧に対する耐性など)がある方は相談を。

  • 閉所恐怖症、妊婦の方は不可。

  • 運動・栄養・休養の三本柱との併用が肝心。酸素ボックスだけで全てが解決するわけではない。

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9.結語

マラソンは「耐えるスポーツ」でもありますが、それ以上に「繰り返し優れた状態を保つスポーツ」です。走ることだけでなく、その後の身体のケア(回復)を科学的に実践することが、長く元気に走り続ける秘訣です。

週 1〜2 回の酸素ボックス利用は、科学的にも回復改善・疲労軽減のデータがあり、「感じる疲れ」の軽さや次の練習・レースでの動きの良さにつながる可能性があります。皆さまもこの「マラソンの日」をきっかけに、ご自身の回復サイクルを見直してみてはいかがでしょうか。当院も、身体のケアと回復のプロとして全力でサポートいたします。

〒814-0003
福岡市早良区城西3丁目22-20 AP L-tage西新 3F
かなざわ整形外科・婦人科

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院長 金沢 正幸

医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会リハビリテーション医
日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会スポーツ医
日本医師会認定スポーツ医
日本体育協会公認スポーツドクター

※婦人科は女性専門医が診察にあたります。

 

2025年09月12日