突然ですが、皆さんはもう『マスカレード・ライフ』を読みましたか?
「読書の秋」と言うには少し早い気温ですが、東野圭吾さんの人気シリーズ「マスカレード」の最新作を読みました。

『マスカレード・ホテル』に始まり、『マスカレード・イブ』『マスカレード・ナイト』、そして『マスカレード・ゲーム』と続く本シリーズ。映画化もされ、広く知られるようになりました。中心となるのは刑事・新田浩介。潜入捜査でホテルマンに扮する彼の姿は、刑事ドラマでありながらホテル小説の味わいをもつ独特の作品世界を形づくっています。
シリーズに大きな転機をもたらしたのが『マスカレード・ゲーム』。詳しくは触れませんが、ラストで新田が下した“決断”は、長く読み続けてきたファンにとって衝撃的なものでした。あの結末を受けて「続きが気になる!」と待ち望んでいた方も多いはず。
そして今回の『マスカレード・ライフ』は、まさにその“その後”を描いた物語です。新田の立場には少し変化がありますが、舞台は変わらずコルテシア東京。おなじみのホテルスタッフたちも登場し、再び人間模様が繰り広げられます。
本作のメインは、文学賞の選考会。最終候補者の一人が殺人事件の容疑者となります。
また、サイドストーリーとして新田の学生時代、そして父親との再会が描かれます。微妙な親子の距離感の描写は、秀逸です。
主人公はもちろん新田浩介。刑事時代に培った観察眼や人を見る力は健在ですが、これまでとは異なる立場で描かれることで、また違った一面が浮かび上がります。
不器用ながらも新しい役割に馴染もうとする姿はどこか微笑ましく、同時に頼もしさを感じさせます。“変わりゆく新田”を見守ることも、シリーズファンにとって大きな楽しみの一つでしょう。
さらにフロントクラークの山岸尚美をはじめとするホテルスタッフとの掛け合いも健在。冷静さとプロ意識を持ちながらも温かみのあるやり取りが、物語に彩りを与えています。前作の少し強気の女性警部の梓も登場します。前作の嫌な感じがなくなって少し丸くなっており新田とのやり取りもいい感じです。
シリーズが映画化されている影響もあり、読み進めると頭の中で自然と映像化され、あっという間に読み終えてしまいました。
特に印象に残ったのは、新田の父親の言葉――
「何が大事かは人それぞれだ。」
人のためを思ってしたことでも、思いはすれ違ってしまう。その苦さや切なさが胸に残りました。
文学賞選考会の皮肉を織り込みながら、親子の物語を重ねて描き切る。まさに“安定の東野圭吾ワールド”でした。
皆さんは、どんな仮面を、いくつ持っていますか?
かなざわ整形外科・婦人科
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院長 金沢 正幸
医学博士
日本整形外科学会専門医
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日本体育協会公認スポーツドクター
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