― レントゲンで分からない骨折がある理由 ―
(外来で本当によくある質問)
診察の場で、よくこんな質問を受けます。
「これって骨折ですか?ヒビですか?」
お気持ちはとてもよく分かります。
ただ、医学的には少し整理が必要な質問でもあります。
「ヒビ」と「骨折」は別物ではありません
結論から言うと、
一般に言われる「ヒビ」も骨折の一種です。
医学的には、
骨が折れていれば「骨折」
そこに「ヒビ骨折」という正式な診断名はありません
患者さんが言う「ヒビ」は、多くの場合
👉 転位(骨のズレ)がない骨折
👉 線が細く、分かりにくい骨折
を指していることがほとんどです。
なぜ「ヒビ」という言葉が広まったのか
これは決して患者さんの誤りではありません。
「完全に折れていないから軽そう」
「ズレていないから大丈夫そう」
こうしたイメージを伝えるために、
医療者側も説明の中で
便宜的に「ヒビですね」と表現してきた歴史があります。
ただし、重要なのはここです。
👉 軽そうに聞こえても、対応は骨折と同じことがある
レントゲンで分からない骨折がある理由
理由① 転位のない骨折は写りにくい
骨にズレがない場合、
骨の輪郭が保たれている
線が非常に細い
ため、初回のレントゲンでは判断が難しいことがあります。
理由② 受傷直後は変化が目立たない
骨折直後は、
骨の修復反応がまだ出ていない
周囲とのコントラストが乏しい
数日〜1週間後に
骨の変化がはっきりしてくるケースも少なくありません。
理由③ 痛みの原因が「骨の中」にある
いわゆる骨挫傷(骨の内部のダメージ)は、
レントゲンでは異常なし
しかし、痛みはしっかりある
という状態です。
👉 この場合、MRIで初めて分かることもあります。
整形外科ではどう判断しているのか
診断は
画像だけで決めているわけではありません。
診察で重視するポイント
どこをどうぶつけたか
押したときの痛みの「一点性」
体重をかけたときの反応
時間経過での痛みの変化
これらを総合して、
今すぐ骨折として扱うべきか
経過を見ながら再評価するか
を判断します。
「ヒビだから大丈夫」とは限りません
転位のない骨折でも、
無理に使い続ける
固定せずに負荷をかける
ことで、
治りが遅れる
痛みが長引く
ことは十分にあります。
👉 骨折かどうか以上に、「どう扱うか」が重要です。
再評価を考えたいサイン
数日〜1週間たっても痛みが強い
体重をかけると明確に痛む
腫れや熱感が引かない
日常生活に支障が続いている
こうした場合は、
「一度異常なしと言われたから」ではなく、再評価が必要です。
最後に
「骨折ですか?ヒビですか?」という疑問は、
痛みの強さや不安の表れだと思います。
大切なのは、
呼び方ではなく
今の状態に合った対応ができているか
です。
痛みが続く、判断に迷う場合は、
遠慮なく整形外科でご相談ください。